令和6年 能登半島地震と被害状況
令和6年に発生した能登半島地震は、石川県において観測史上初となる震度7を記録し、地域社会に甚大な被害をもたらしました。住宅をはじめ、歴史的価値の高い古民家までもが大きな被害を受けています。
現在、被災家屋の解体・撤去が進められている一方で、茅葺き屋根、白壁、黒瓦など、自然と調和した能登の美しい景観を形成してきた古民家が次々と失われることに、地域内外から大きな懸念が寄せられています。
解体だけではない、“再生”という選択肢
石川県では、こうした状況を受け、被災した古民家の所有者に対して、単なる解体ではなく「修繕して住み続ける」「建物を活用したい事業者等へ売却・貸し出す」など、多様な選択肢を検討していただく取り組みを進めています。
その一環として、能登復興建築人会議および全国古民家再生協会による民間コンソーシアムと連携し、被災古民家の保存・活用に向けた調査・相談活動への支援を実施しています。
利活用に向けた現状と課題
令和7年4月10日時点で、合計373件のご相談をいただき、そのうち206件において調査を完了。現在、それらの物件について、今後の利活用を見据えた取り組みを進めています。
今後は、売却・貸し出しを希望する所有者と、活用を希望する事業者とのマッチングを円滑に進めることが重要となります。とりわけ、能登の街並みや文化を尊重し、中長期的な視点で古民家を活用する事業者との連携が求められます。
※短期間のみ建物を使用し、終了後に更地に戻すような活用事例は、地域再生の観点から望ましいものではありません。
また、公費による解体支援との関係もあるため、迅速な意思決定とマッチングの実施が求められます。なお、物件の活用方法については、あくまでも所有者の意思を最優先する必要があります。
「能登空き家古民家リノベーションコンテスト」の開催
このような背景のもと、昨年度福井県で実施された「福井県古民家リノベーションコンテスト」のノウハウを活用し、能登地域においても新たに「能登空き家古民家リノベーションコンテスト」を開催する運びとなりました。
私たちは、空き家の活用こそが能登の真の復興に不可欠であると考えています。
質の高い古民家を未来へつなぐために
古民家の取引では、建物の見えない部分に瑕疵があることでトラブルが発生したり、適正な評価がなされず、質の高い古民家であっても解体されてしまうケースが少なくありません。
また、「どこに改修工事を依頼すればよいのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった不安も、購入希望者の大きな障壁となっています。
今回のリノベーションコンテストでは、改修プランや費用感を事前に可視化することで、購入希望者が将来の生活や活用イメージを具体化しやすくなることを目的としています。
目指す未来
私たちは、この取り組みを通じて、安心して空き家(古民家)を購入・活用できる環境の整備を進め、能登地方における良質な古民家の流通と利活用の促進を目指してまいります。